スクール無しで英語の会話に慣れる方法
いざ独学を始めてみると、英語の読み書きなど文法的なことは、英検2級のテキストを読み込むことでカバーできましたが、会話に関しては、独学の限界を感じました。
そもそも英語に限らず、どんな言語でも会話で使えるレベルまで習得するには、文法や言葉を「知っている」レベルでは不十分で、話しかけられたときにとっさの受け答えの出来る瞬発力が必要です。
それには、スポーツの筋トレやストレッチのような反復練習が欠かせません。
反復練習のためには、英語を口にする機会を増やすよう、英語で独り言を言う習慣をつけました。目に映るもの、自分が今していることを全て英語に置き換えてブツブツと独り言でリポートするのです。
この方法のいいところは、全く費用がかからないこと。
当時、専業主婦で自由になるお金がないわたしには、高額な英会話スクールの授業料を払う財力はありませんでしたから、この方法はうってつけでした。他人が見たら常に意味不明なことをブツブツつぶやいている、変なオバサンにしか見えなかったでしょうね。

アウトプットもやはり必要
英検テキストを読み、単語を覚え、会話のフレーズを独り言で繰り返す…地道なインプットをいくら続けても、やはりアウトプットの機会がないと会話はできるようにはなりません。でも繰り返しますが、私には高額な英会話スクールの授業料を払うなんて無理。
現在であればオンラインを使ったマンツーマンの会話レッスンが安い費用で受けられますが、今から20年前の平成12年当時にはそんな夢のような学習ツールは、想像すらつきませんでした。
そこで思いついたのが、ごく安い費用で参加できる英会話サロンでした。
わたしは当時、2つの英会話サロンに通っていたのですが、その2つともがプロテスタントの宣教師の方が主催するサロンでした。
当初、宗教色の強い集まりに足を踏み入れることに抵抗を感じました。教会のミサに勧誘されるのかしら?
とか。
それに先方は、情熱をもって異国で布教につとめておられるのに、わたしの目的は英会話であり、教会に行く気もないことが後ろめたくもありました。
けれど いざ参加してみると、そんな風に堅苦しく身構える必要はなく、サロンはただの出会いのきっかけにすぎなかったのです。とくに一つのサロンはアメリカ人の宣教師の男性2人に対して、受講者は わたしのほかに60代の主婦の方がお1人だけ。この方は、ご両親の仕事の関係で10代のほとんどをアメリカで過ごされた方でした。
ごく少人数でおだやかな雰囲気のなか、わたし以外の英語が堪能な3人は、しどろもどろのわたしの独学英語に熱心に耳を傾けてくれました。
それだけではなく、若い宣教師の男性は同じくアメリカ人の奥様をわたしに紹介してくださいました。
日本にきたばかりで、日本語もできず退屈している妻の友達になってやってほしいと。
その宣教師妻とわたしは毎週いっしょに泳ぎに行ったり、映画を見に行ったり…そのご夫妻に赤ちゃんが生まれ、転勤で一家そろって引っ越していってしまうまで、そんなお付き合いが続きました。
ちょうどその頃、そのアメリカ人宣教師妻に教えてもらって始めたフェイスブックのおかげで、今もその家族とは 繋がっています。あの時、躊躇しながらも英会話サロンに出向いて本当によかった。
音読はインプットとアウトプットを同時に鍛える最高のトレーニング
古典的な方法ですが、音読もわたし的にはとても効果がありました。目で見て情報を得ながら、発音することで耳からもを同じ情報を受け取り、かつ英語を発話することに慣れて、外国語を話すという抵抗感を減らしていく。
けれどこの方法が功を奏するには、いくつか気を付けるべきポイントがあります。
- 一冊のテキストを丸覚えするほど繰り返す。不用意に次の教材に手を出さない。
- 今週は、音読週間だと決め、 1つのユニットを一日五回は音読するなど、ノルマを決めて やってみる。
- 楽に読めるレベルの教材を選ぶ。たとえば英検2級のあなたなら、中学生レベルのテキストを選ぶ。
- 必ず音声付の教材を選ぶ、アクセントやイントネーションなどを自己流に間違ったまま、定着させないため。
この音読も自由になるお金はないけれど、時間はふんだんにある主婦の方には、うってつけの英語習得法だと今でも思います。
きわめつけは、英語を使う仕事につくこと
わたしが最終的にとった英語習得方法は、英語を教える仕事に就くことでした。
習うより慣れよ。ある程度のインプットを完了した状態なら、これが一番有効だと思うのです。
スクールや教材にお金を払って、英語を「お勉強」している間は、あくまで趣味の域。 逆にお金をいただいて英語を使いながら仕事をするとなると甘えは許されず、おのずと自覚もめばえます。
でもこれがわたしにとっては、ハードルが高かった。
海外経験もなく、英文科卒でもなく、独学で勉強してきただけのわたしが、英語を教えてもいいのかしら?と。
地域のフリーペーパーで見つけた、子供英会話講師の仕事に試しに応募し、採用されてから慌てました。
もしこのとき、採用を辞退していたら、わたしの英会話力もそこでストップしていたことでしょう。さいわい採用された英会話教室は、外国人の英会話講師と一緒に協力しながら教えるスタイルでした。
なので同僚との普段のコミュニケーションは基本的に英語を使うことに。日常的な英会話に実践で慣れていくほかはありません。また最初のうちは、レッスンの中で使うクラスルームイングリッシュなども、同僚の外国人が使っている表現をまねながら増やしていきました。
悪戦苦闘しながらも、気が付くともう15年、この仕事を続けています。今でもレッスンの合間などに同僚の外国人とおしゃべりすることが、わたしにとっては、この仕事のたのしみの一つです。他の日本人講師のなかには、ほとんど必要最低限のことしか外国人講師と話さない方も多いのですが、わたしには信じられない。とても勿体ないと思いますし、英語だけでなく、せっかくご縁のあった同僚の故国の文化や、異なる価値観に触れることは、やっぱり楽しい!!と思うのです。